宇都宮市 3 枠内の城名を触ると、縄張り図にジャンプします 



 ◆@記号SKは、現地調査の生DATA=スケッチを示す
 ◆A『 』内の城は、調査したが、遺構が見あたらない城を示す。
   この場合、縄張り図の代わりに、地籍図や写真等を掲載している。
   (注)遺構が無いからと言って、そこを城として否定しているわけでない。
 ◆B図は断りのない場合、上面が北を示す。
  パソコンの特性上、縄張りをすべて画面上に掲載できていない場合がある
。  

伊釜山sk



伊釜山sk 電子国土・位置へのリンク 


第1回 宇都宮市・伊釜山って何処? 2013/05/25                

情報があった。
インターネット含めて複数あったのだが、簡単にまとめるとこんな所か。

 古賀志山の山麓に伊釜山という所がある。
   かつて、この山には橿(かし)と櫻の大きな木があり、そこに日吉神社を分社したのが、平安時代。

   鎌倉時代に入り、この地に北條家の子孫が居住し拠点を置いていた。
   その後、唐沢に移住するまで、長い間、この地を拠点としていたそうである。

   だから、
伊釜山には、二段の周回路が認められ、この周回路が城の曲輪跡なのでは?



 
日吉神社の字名が「堀之内」であり、堀?が残っている

 地元の方で組織する団体が、この伊釜山を最近整備したという。



  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  




  実は、場所がイマイチ曖昧であったが、”日吉神社”という所で当たりをつけ、出かけてみることにした。

 

 車を止めたのは、孝子桜で有名な城山西小の北、
B地点












伊釜山ということは、当然ピーク地であろうという予測の元、あ、い、う のピークを訪ねたものの、収穫無し
 
ちなみに地図上の・・・・・が、今回管理人の歩いた足跡。

            
            この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである。




 う地点 の途中に、土塁を伴う、長い縦堀?を発見したが・・・・・
                       

 縦堀?の最終端末には、このようなドラム缶が山積み。
 近世の造作と判断した。
 誰かが、ドラム缶を放置するために、道を作ったのか?(わざわざなんでだろう・・・?)
                       



 気を取り直して最終目的地、日吉神社へ。
 確かに神社看板に ”字堀之内” と書いてあるものの、あたりに堀らしいものは見当たらず。。。。
 しかも、看板には、この境内の中に、橿の木があったと言う。
 
じゃあ、この神社の場所が伊釜山?
 でも、この位置は、どう見ても山の尾根の最末端なんだけど・・・・。


       

     

   ああ、ダメだ!!

             地元の方にちゃんと話を聞こう!
 


 と、トドメをさしてくれたのが、
 A地点
で出会ったお二人のご婦人達。

 
「伊釜山?
  知ってますよ〜。
    こないだ地元の集会で教えてもらったから」

 「どちらになります?」

  と地図を差し出すと

 「こことは全然場所が違いますよ。
      たしか城山西小の上だから・・・」 

                                と言って、
                                「ここかな・・・・・」



     
と、ご婦人が指を差してくれたのは なんとB地点
     
      そこ、今日車をとめてきた駐車場なんだけど・・・
    もう、じぇんじぇん わかりましぇん。。


 この後、読者からの伊釜山の場所に関する情報があり・・・・・・・・・・・・・


 第2回 新城確認第8弾伊釜山は城でした 2013/05/31
【解説】
        伊釜山は城でした。


  


 
 伊釜山の所在がわかり、いてもたってもいられない私。

 会社帰りに無謀にも、きてしまいました。

 (地図下の小学校は、孝子桜で有名な城山西小学校。





この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである。
 



             
  現在PM5:00
                      山の中は、薄暗くなりかけ。

               
               写真では明るく見えますが、夕闇が迫る。

               写真は城への入口。
 




 いくら日が長くなったとは言え、
 PM5:00だと、私は、日陰が暗くて見えない。

 しかも今回、調査中に磁石を落とすというハプニング・・・・・(;_;)
 

 精測は無理と判断し、ラフ図を作成。

 暫定図公開となってしまうが、雰囲気は十分わかると思う。







   北の舗装路に車を止め、草刈された山道を歩くと、早速堀切が出現。

   夕刻で写真がボケてしまい、すみません。
   

    しばらく歩くと、主郭近くの堀切が現れる。
ここが、主郭を囲む帯状の曲輪の起点となる。

縦堀状になっている堀切を上部から望む。



  
これは反対側から見たところ。
山道で、堀切が崩されているようだ。

  




 
主郭内部は、あまり整地がされていない。

中央には、竹で四角く囲いが施してある。
ここに伝説の橿の木があったのかな?















主郭最南端の堀切。
山道で潰されているが、間違いない。


しかし、何しろ写真がピンボケだ。








     主郭を見上げる。 主郭壁は、結構な高さがある。
     





   主郭周りの壁は、非常にしっかりしている。


  



   主郭を囲む細い曲輪は、一部空堀となっている。
 このことから、この腹帯状の曲輪は、全周かつては堀だったのかもしれない。

 


          この城、構造は単純だが、位置的には多気山と東西に並ぶ。
          後北条氏襲来を意識した、多気山の支城だろうか
 
          それとも逆に多気山を監視するための城か
 




             いろいろ思案を巡らせながら、帰り道、夕日の古賀志山を望む。

             また、来よう・・・・・

        


            とにかく 私の方位磁石を、この山で見つけた方は、ご一報ください。。。。。。。。。。。。。。。

                     (伊釜山、とりあえず暫定コンプリート)

                          


 第3回 伊釜山縄張り図作成 2013/11/04 2013〜2014シーズン第四弾

        
伊釜山は城である。


 
約半年前、こういう結論を出しておきながら、日暮れに訪れたこの城。
 しかも、方位磁石まで落とし、まともな縄張り図が描けなかった。

 本日は、そのリベンジである。
 成果は以下。

 やはり、間違いなく城跡である。

                 


 

 城跡入口はカーブミラーの向こう側。
 
 しめ縄が張られているので、すぐわかる。





 さあ、縄張り図調査始まりだ。








         
   
 
 
【解説】

                 


北のしめ縄部から少し下ると、早速堀切@に至る。
山道が堀切@中央を貫いている。


     


  
古墳にも見えなくもないが、城でしょ!やっぱ。







堀切Aの西側を見る。

縦堀状に綺麗に遺構が残る。



  















堀切Aの東側を見る。

こちらは平面的な堀切となっている。


     










さらに進むと堀切B。

かなり浅いが間違いないだろう。



    





















堀切Bを進むと、主郭に至る。




















主郭の加工は甘かったようで、
南に行くほどダラッとした感がある。



         












主郭のある山名は伊釜山。

しめ縄で祀られる場所に、
この山のシンボル=桜と橿の木があった。


























堀切C


 かなり浅くなってしまっているが、
 間違いなく堀切だ。
        
        
      










所変わって、主郭を囲う曲輪だ。

これは西側の曲輪。

綺麗に主郭取り巻いている。




      













これは東側の曲輪。

画面の奥に行くほど、立ち上がっている


      

























 さて、地元の研究では伊釜山には一定の歴史が伝えられているが、戦国時代にまでは及ばないようだ。
 しかし、私には気になる事実がある。
 以下の地図をご覧いただきたい。


 伊釜山は多気山城、岩崎城の中間にあるのだ。


 これは何を意味するのか・・・

 そう、

 伊釜山は多気山に宇都宮氏が移城してきた時に
 後北条氏の攻撃に備える為、
 整備されているのではなかろうか。


 






 当地は古賀志山の中腹であり、立地的には決して要害ではない。
 城の構造から急ごしらえの感が否めない伊釜山。
 居住目的の城とは思えない。

 私には、物見をかねた多気山の補佐のように見えるのだ。



            ・・・・・・・・・・・・・・・・結局、半年前無くした方位磁石は出てこなかった・・・・グッすん。


                                    (伊釜山完了)
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